空腹状態でのトレーニングについてまとめました
朝起きて朝食をとる前にランニングをすると脂肪が良く燃えるのでダイエットに効率的という話があります。記録を狙うランナーの間でも、空腹な状態で走った方が良いトレーニングになると考える方がいます。一方、空腹状態で走ったら筋肉が分解されてトレーニングにならないという意見もあります。
トレーニングをする際に空腹(*1)な状態で走った方が良いのか? しっかりと食事をしてエネルギーが十分にある状態で走った方が良いのか?それぞれのメリットとデメリットについてまとめました。
*1)空腹は筋肉のグリコーゲン量が低い状態を意図しています
空腹トレーニングのメリット
人がランニングをするときに利用するエネルギーは①糖質②脂肪③タンパク質の3つを利用することで生まれます。この3つがどのような比率で利用されるかはペースや体内の状態によって変わります。空腹=筋肉中のグリコーゲン量が少ない状態でのトレーニングでは脂肪をエネルギーとして利用する比率が高くなると言われています。そして、脂肪を利用しやすい体になると考えられます。
フルマラソンを超えるような持久系スポーツではレース中に糖質が枯渇することによりパフォーマンスが低下するケースがあります。よって、できるだけ糖質を温存しながら走れる体=脂肪を利用しやすい体になるほど高いパフォーマンスを発揮することができるようになります。
空腹トレーニングのデメリット
空腹状態のトレーニングは脂肪だけでなくタンパク質(アミノ酸)の利用も促します。体内に貯蔵しているアミノ酸の多くは筋肉にあるので、筋肉の分解が進みます(*2)。よって過度に空腹状態でのトレーニングが続くと体を鍛えるつもりが逆に弱くしてしまうということになります。あまりに長い無補給のLSDなどがこれに当てはまります。
*2)実際には筋肉は常に合成と分解がされているので、「分解ー合成」の値が大きくなるということです
また、筋肉に十分なグリコーゲンを蓄えていない状態では高強度でのトレーニングをする能力が抑制されてしまいます。この悪影響は高いレベルのアスリートほど大きくなると考えられます。
文献からのまとめ
エンデュランストレーニングの科学という書籍の中でも『低糖質状態でのトレーニングに役割はあるのか?』というテーマで紹介されています。2日に1回の空腹状態でのトレーニングを導入したところ一般的なトレーニングを超えるようなパフォーマンス向上は得られなかったとあります。そして、重要なポイントは高強度のトレーニングにおいては十分な糖質を貯蔵・補給し、きちんと質の高いトレーニングをこなすことである結んでいます。
個人的な感覚
最後に私の個人的な空腹練や練習の補給についての考え方を紹介します。
インターバル走、ビルドアップ走、ペース走(30kmくらいまで)→
集中してしっかり走るために糖質がしっかり補給された状態でスタート。30kmくらいのペース走ではガス欠でパフォーマンスが落ちそうならエネルギーを補給する。
60km超のLSD→
走る前も走っている最中も必要量きちんと補給する。体への負荷を減らすため。食べながら走る練習となるため。
40kmくらいまでの軽いジョギング→
集中力が続けば走っているときにエネルギー補給はしない。練習が終わったらできるだけ速やかに食事をする。走る前はしっかりエネルギーが補給された状態でないと40kmは集中力が維持できないことが多い。
日々のジョギング10~25km→
走る前のエネルギー補給は特に意識しない。狙って空腹練はしないが、偶発的に空腹な状態で走り始めることがある。その際は集中力を切らして悪い走り方にならないように注意している。空腹が気になる時間が1時間を超えないようにしている(1時間以上は体の負荷が多く、トレーニングとしての実りが少ないと経験的に感じる)。
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