こんにちは。
歌って走るシンガーソングランナーのluki(ルキ)です。
そんな私ですが、ついでに映画評論などもしております。
普段は大きな規模のハリウッドムービーから低予算のインディペンデントな作品まで、何でも観ます。ジャンル問わず雑食です。
ですので、今日はオルガニックを愛飲している皆様のお顔を想像しながら、アスリート向けの躍動感溢れる作品を幾つかご紹介しようと思います。
スポーツ映画の名作といえば『炎のランナー』や『勝利への旅立ち』、『クール・ランニング』など沢山ありますよね。もちろん『ロッキー』や『レイジング・ブル』も外せません。
あまりに幅が広いので、今回はここ数年の内に発表された作品の中から、私の独断と偏見で選んだ5作品を取り上げてみます。
どれも素晴らしい作品ですが、意外にまだご覧になってないものもあるかと思います。是非チェックしてみてください。
まずは『フォックスキャッチャー』です。
グワっと胸を鷲掴みされるような凄い作品です。
内容は世界チャンピオンのレスラー兄弟であるマーク&デイヴ・シュルツと変わり者の大富豪ジョン・デュポンの間に実際に起きた事件を基に作られたフィクションです。兄弟は1984年ロサンゼルス五輪で共に金メダルを獲得し、その後も世界の大会で大活躍した選手なのですが、その裏で渦巻いていたドラマは凄まじいものだったようです。幼い頃から比べられた兄弟間の確執、またスポンサーに名乗りを上げた大富豪に振り回され、とんでもない事件で発展して行く様は恐ろしいものがあります。競技を極めて行くことと精神の健全性は必ずしもイコールではないなと感じました。
個人的には、コメディ俳優として名高いスティーヴ・カレルが演じる富豪の陰鬱さに目を奪われました。彼は他の作品だとめちゃくちゃ面白い人なのですよ。
次にご紹介したいのは『疑惑のチャンピオン』
これは世界最高峰の自転車レースで7冠に輝いたランス・アームストロングの衝撃の実話です。
25歳のときに重度のガンに冒されたアームストロング。彼は治療を受け病気を克服し、わずか3年後の1999年に復活し、なんとサイクルロードレースの最高峰“ツールド・フランス”で初優勝を果たします。その後も敵無しの快進撃を続けて前人未到の記録を叩き出します。けれどかねてから彼を追い続けてきた、あるジャーナリストが疑念を抱くようになります。上り坂が苦手なアームストロングが短期間で飛躍的にスピードを上げられたのは不自然ではないかと。実はは巧妙な手口のドーピングが裏側でなされていたのです。競技外ではガン患者を支援する財団を作り人望を集め、ハリウッド女優とのゴシップが報じられるほどのセレブリティです。勝利に執着したスター選手のエゴイズムとでもいうのでしょうか。しかしドーピングの成され方を如実にした映像は迫力があります。筋肉増強効果のステロイド剤だけではないのですね。赤血球を増加させるものや興奮薬、消炎鎮痛剤、尿のすり替え、元気なときの血液を取っておいて競技前に点滴するなど、様々な方法があって面白い、というか単純に凄いなぁと感心してしまいました。
そこまでして勝ちたいという気持ちがわかるような、わからないような。当時のアームストロングさんにオルガニックを差し上げたくなりました。違反薬物ではなくても効くものがありますよと(笑)
その次にご紹介するのはオランダ映画の『人生はマラソンだ!』です。
こちら心がほっこりするようなヒューマンドラマです。ロッテルダムで自動車修理工場を営むギーアと従業員のオジさん3人組がマラソン完走を目指す物語です。経営不信に陥った工場と家族を救う為に必要なのは“ロッテルダム・マラソンで4人全員が完走すること”、それがスポンサーとの条件になってしまったから大変。エジプト系移民の若者ユースをコーチにして練習を始めるのですが、運動とは無縁の生活をしてきたメタボな中年軍団は苦戦します。マラソン初心者ネタが散りばめられています。30キロ走?インターバル?シューズは少し大きめ?そんなの知るか!と、マラソンあるあるな感じが楽しいです。また後半のドラマチックな展開は、確かに“人生はマラソン”と胸に迫るものがあります。
そして『ROAD ロード デスティニー・オブ・TTライダー』
これは本物の映像が迫力満点のドキュメンタリー映画です。アイルランドのマン島で1907年から開催されている伝統的なオートバイ競技“マン島TTレース”に、2世代に渡って挑み続けた2つの兄弟たちの物語です。このレースは閉鎖された公道を走るので障害物も取り除けるわけではなく、かなり危険なものです。時速320キロで走り抜ける伝説のライダー兄弟にとってはまさに家業ともいえるもので、事故があろうが帰らぬ人になろうが辞めることはできないという宿命を抱いています。父世代が作った輝かしい優勝の記録を子世代も受け継ごうと必死の覚悟で挑む姿に泣けました。想像を超えたドラマが見られます。名優リーアム・ニーソンが渋い声でナレーションしているのも痺れます。
個人的には「2位は敗者の頂点」という台詞にグッときました。優勝以外に価値はないというストイックさが凄いですよね。私は去年沖縄100Kというマラソン大会で女子の2位になったのですが、すぐにこの台詞を思い出し、このときばかりにと使いまくりました。敗者の頂点になりました!」と(笑)
最後にご紹介したいのは今年公開された『パトリオット・デイ』です。
ご存知の2013年に起こったボストンマラソン爆弾テロ事件を題材にした作品です。地元の方々はもちろんのこと、全世界のランナーにとっても痛ましい記憶を残しました。けれどもあまり知られていないのは、このテロ事件はその後、わずか102時間という期間で犯人逮捕に至ったという事実。そのドラマを詳細に描いたのが本作です。“愛国者の日”に開催される伝統のマラソン大会を狙ったテロ。和やかな雰囲気が一転して殺戮の場に変わる恐ろしさは例えようもありません。しかしそこから立ち上がる人たちの勇気と協力が素晴らしく感動します。市民が一体となってテロリストと立ち向かう姿、それは自分たちの街は自分たちで守るという決意で、アメリカ全土に広がる可能性もあったテロ行為を止めることに成功します。爆破で足を失ったランナーが義足でまたボストンマラソンに参加する実際の映像もありました。
我々のようにスポーツ競技をする者にとっては少なからず“希望”をもらえるものでした。
以上の映画作品をご紹介させていただきました。ご興味持てそうなものがあれば、トレーニングのオフな時間にでもお試しくださいね。その際はオルガニックを飲みながら。
最後に私lukiのインフォメーションです。
月刊誌CUTで『小さなスクリーンの中で生きていたい』という映画コラムを連載しています。毎月私の選んだ新作映画をご紹介しています。また3rdフルアルバム『その瞬間、見えた風景』好評発売中です。ぜひお聴きくださいね。
毎週木曜日25時には、bayfmラジオにて“lukiシンガーソングランナー”という番組を放送しています。ランニングの話、映画の話など盛りだくさんでお送りしています。
諸々詳細は、luki.comまでどうぞ。
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【ライター】luki
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